膝が痛くなって整形外科を受診すると、「変形性膝関節症ですね」と診断される方が多くいます。
その結果、“変形=痛みの原因”と考えてしまう方がほとんどです。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
私は臨床経験から、ここには大きな誤解があると感じています。
目次
■ 変形は“きっかけ”にはなるが、痛みの原因とは限らない
確かに、変形性膝関節症は痛みを引き起こすきっかけにはなります。
しかし、変形そのものが痛みを生んでいるとは限りません。
なぜなら、膝の痛みを引き起こす組織は骨や軟骨ではないことが非常に多いからです。
■ 実際に痛みを起こしているのは“軟部組織”
現在、膝痛のトピックスとしてよく挙がるのが「膝蓋下脂肪体」の痛みです。
脂肪体は本来クッションの役割を持つ組織ですが、変形や身体のバランスの崩れによって摩擦が増え、
炎症や痛みを起こしやすくなります。
その他にも、痛みを起こす組織は多岐にわたります。
- 筋肉の短縮による痛み(太もも前・内側など)
- 鵞足炎(内側の筋肉の付着部の炎症)
- 伏在神経の痛み(神経の過敏)
- 脂肪組織の硬化による半月板の動きの阻害
- 半月板自体の痛み
- 関節包や滑膜の短縮・炎症
これらはすべて、“変形とは別の原因で起こる痛み”です。
そして重要なのは、これらの痛みは不可逆的(治らない)ではなく、改善が可能な痛みであるということです。
■ 初期の変形性膝関節症で起こる炎症も“ずっと続くわけではない”
変形性膝関節症の初期では、軟骨の破片が滑膜を刺激して炎症が起こり、関節水腫が溜まることがあります。
もちろんこれも痛みの原因ですが、炎症は時間とともに落ち着くことがほとんどです。
ただし、炎症が起きた後に筋肉や脂肪体が硬くなり、別の痛みを引き起こすことがあります。
つまり、「変形 → 炎症 → 二次的な痛み」という流れが起こるのです。
■ 結論:変形=痛みではない
ここまでの内容を整理すると、
- 変形は痛みの“きっかけ”にはなる
- しかし、痛みを出しているのは多くが軟部組織
- 変形があっても痛みがない人はたくさんいる
- 逆に、変形がなくても痛い人も多い
- 多くの痛みは改善可能である
ということが分かります。
■ 恐れずに“自分で治す力”を身につけてほしい
「変形性膝関節症」と聞くと不安になる方が多いですが、変形=痛みではありません。
そして、多くの膝痛は自分で改善できる余地があります。
正しい知識を持ち、
自分の身体の状態を理解し、
適切なケアを続けることで、
痛みは十分に軽減できます。

コメント