当院に来られる患者さんの中には、こちらが「少し苦戦しそうだな」と感じるタイプの方がいます。
これは長年の臨床経験からくる直感で、明確なエビデンスがあるわけではありません。
しかし、不思議なことにこの直感はかなりの確率で当たります。
その“苦戦しやすいタイプ”の特徴のひとつが、痛みに対する不安や恐怖心が非常に強いことです。
症状が軽度であっても、痛みの感受性が高く、わずかな刺激にも敏感に反応してしまう方がいます。
特に女性に多い傾向があります。こうした方は、膝そのものの状態は良好であるにもかかわらず、
痛みに対する恐怖が強いために改善が進みにくくなることがあります。
なぜかというと、「何をしても不安になる → 不安が痛みを増幅する → さらに不安が強くなる」
という悪循環に陥ってしまうからです。
精神的な影響というと「不定愁訴」という言葉が使われることがありますが、ここで言いたいのはそれとは少し違います。
あくまで、痛みに対する感受性が高く、恐怖心が痛みを増幅してしまうタイプだということです。
実際に触診してみると、こうした方は膝の状態が良好であることが多いのに、
痛みへの反応は非常に強いという特徴があります。
そのため、精神的な不安が強くなると治療が難航しやすくなります。
しかし、こうしたケースでも私は必ずこうお伝えしています。
「大丈夫です。改善していきますから安心してください。」
本来「治ります」という表現は慎重に扱うべきですが、
“改善する見通しがある”という事実を丁寧に伝えることは、患者さんの安心につながり、結果として治療効果を高めます。
精神的な不安を軽視することはできません。
人の心は痛みと密接に関わっており、適切に寄り添うことが非常に重要です。
そのため私は、
- 安心できる材料を示す
- 現在の状態を正確に伝える
- 改善の道筋を共有する
この3つを大切にしながら対応しています。
皆さんも、痛みに対して過剰に反応しすぎると、かえって悪化することがあります。
どうかその点をご理解いただき、必要以上に恐れず、安心して取り組んでいただければと思います。

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