先日、府中市から60代の女性が来院されました。
整形外科クリニックで「変形性膝関節症」と診断されたとのことです。
診察時に「先生は膝を触って評価しましたか」と伺うと、
「いいえ、触っていません。診察は5分ほどで終わりました」とのことでした。
確かに、変形性膝関節症はレントゲン画像を見ることで、ある程度診断がつきます。
しかし、当院に来られる多くの方を評価していると、“変形”だけでは説明できない痛みの原因が数多く見つかります。
目次
変形性膝関節症の痛みには多くの原因が混在する
膝の痛みは、単に関節の変形だけで起こるわけではありません。
実際には、以下のような複数の要因が絡み合って痛みを作っています。
● 鑑別すべき主な痛みの原因
- 膝蓋下脂肪体の炎症
- 関節包・滑膜炎による痛み
- 鵞足炎(内側の筋肉の付着部の炎症)
- 伏在神経の神経痛
- 半月板の機能低下や挟み込み
- 関節液(いわゆる“水”)が溜まることで膝蓋骨の動きが悪くなる
- 腫れによって皮膚や軟部組織が硬くなり痛みを生む
これらは、レントゲンだけでは分かりません。
触診・動作分析・圧痛評価・可動域評価など、丁寧な鑑別が必要です。
鑑別を曖昧にすると治療方針が大きくズレる
整形外科クリニックは非常に忙しく、個別に細かく評価するのが難しい現状があります。
しかし、鑑別診断を曖昧にしてしまうと、本来必要な治療と全く違う方向に進んでしまうことがあります。
先ほど挙げたような原因に対しては、ヒアルロン酸注射では改善しないケースが多いと私は感じています。
これは再生医療にも同じことが言えるかもしれません。
理学療法士として大切にしていること
私は理学療法士として、評価 → 介入 → 再評価
このプロセスを徹底的に学び、今も実践し続けています。
痛みをどうコントロールするかは、その時々の状態を見極めて、
最適なアプローチを選ぶことが非常に重要です。
「変形性膝関節症」という言葉に振り回されないでほしい
「変形性膝関節症」と言われると、不安になる方が多くいらっしゃいます。
しかし、痛みの原因を丁寧に見ていくと、
意外と早く痛みが軽減するケースも少なくありません。
レントゲンの“変形”だけで判断せず、
本当の原因を一緒に見つけていくことが大切です。

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