本日、小平市より人工膝関節置換術を受けられた方が来院されました。
この方は当初3週間の入院リハビリを予定されていたのですが、実際には2週間で退院されました。
理由として、リハビリ中の痛みが強かったこと、
そして看護師が行うCPM(持続的多動運動)の機器によるリハビリが非常に辛かったことを挙げておられました。
このCPM機器については、科学的に効果があるというエビデンスもあります。
しかし私は、その使用法には注意が必要だと感じています。
一見、自動的に膝を動かすことで可動域改善に寄与しているように見えますが、
実際にはその過程で生じる痛みに対する配慮が足りていないと感じるからです。
たとえば、可動域を120°に設定しても、機器の固定の仕方によってはその角度に達せず、
十分な効果が得られないことがあります。
さらに、強い痛みを感じている患者さんの場合、このような無理な運動によって恐怖心や痛みが増し、
かえって膝の屈曲を避ける「防御的反応」が生じ、逆効果になることもあります。
実際、120°まで動かしているつもりでも、患者さんの能動的な可動域は90°未満にとどまってしまうこともあります。
私自身、新人時代にはこの機器を「良いものだ」と感じていましたが、今ではそうは思っていません。
むしろ、CPMを使用する際は「痛みの出ない範囲の角度」で、
たとえば30〜40°程度の軽い可動を持続的に行うほうが適切ではないかと考えるようになりました。
人工関節を受けた患者さんの多くは、膝周辺に熱感や腫れ、痛みを伴っています。
そのような状態の中で、機械的に強制的な屈伸を行うことで、さらなる痛みや不安を引き起こす可能性が高くなります。
科学的根拠があるとされていても、それがすべての現場で有効に機能するわけではありません。
現場で患者さんと向き合っている私たちから見れば、エビデンスと実際の効果の間にはしばしばギャップがあると感じます。
本日来られた方も、結果的にCPMによるリハビリがうまくいかず、術後1ヶ月経たない現在でも強い痛みが続いています。
統計的にはうまくいくケースが6割だとしても、残りの数割がうまくいかないという現実も忘れてはいけないと思います。
これを読んでくださっている方の中には、人工膝関節手術を予定されている方や、既に受けられた方もいるかもしれません。
直接、医療従事者にリハビリの方法を指示することは難しいかもしれませんが、
リハビリ職や看護師、医師とよく話し合い、
ご自身にとって無理のないペースで進めていくことを提案されるのも一つの方法です。

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